数理モデル

統計学を学ぶがるたろう
今日は外にスケッチに来ています

今日はポカポカで気持ちいい〜。
絵を描くのは楽しいですね!

絵を描く行為は物忘れ防止やストレス解消になるという研究結果もありますので趣味としてオススメですよ。

そうなんですか!友達にもオススメしておきます!

さて、今日も統計学を学んでいきますが、本日は一旦データから離れて、現実世界の表現方法という一般的なテーマを考えていきます。

絵は現実の1つの表現方法ですね。
絵以外の表現方法は何か思いつきますか?

そうですね、例えば写真とかでしょうか?カメラマンは現実をかっこよく切り取っていると思います!

いい例ですね。他にも、文章、ポエム、音楽、動画、漫画など色々な表現方法がありますね。

同じモノを見ても、色んな表現方法があるわけですね!

どの表現方法をとるかは、最終的に何を目的とするかによって違ってくると思います。

そして「ものごとの仕組みを理解し、役に立つ情報を得る」ことを目的とする場合、とても便利な表現方法があります。それが「数理モデル」です。

スウリモデル、、、!何だか難しそうな響きですね

データを使って判断や予測をするためには数理モデルの考え方が基礎となります。統計学に限らず、問題解決にとても強力な武器となるので、ぜひ考え方を押さえておきましょう。

しっかり学びたいと思います!

モデル

まず、モデルという考え方を説明しておきましょう。

モデルさんとか、職業の話ではないですよね?
それだったら華やかで楽しそうな、、、

残念ながら職業とは関係ないです。日常で馴染みのあるものだとプラモデル(模型)の方がイメージに近いですね。

モデルとは、ものごとの仕組みを理解し、役に立つ情報を得るために、現実のものごとを単純化して表現したものです。ここでの表現手段は模型、図、絵など、なんでもOKです。

なぜ単純化が必要なんでしょうか?

現実はそのままだと複雑すぎて取り扱いが難しいからです。重要な特徴(エッセンス)だけに注目し、それ以外はバッサリ捨てることで、よりよい理解を得ることができます。

例えば、地球儀。これは地球を単純化したモデルです。宇宙から本物の地球を眺めなくても、地球儀によって地球の形や地形の分布がどうなっているか理解できるでしょう。

単純化によってモノゴトがわかりやすくなるメリットが大きいんですね!

現実のある対象のモデルをつくることを「モデル化」といいます。具体的な物体だけでなく、抽象的な概念など、あらゆるものがモデル化の対象になります。

前回、母集団と標本の関係を学びましたね。これはデータによる判断に潜む問題を整理した、概念のモデルといえます

この図ですね!これも1つのモデルなんですね

この概念モデルによって、「本当に知りたい情報とデータから得られる情報にズレがあり、データをこえた判断をするときは注意を要すること」がわかります。

しかし、役に立つ情報を得るという点でまだ十分でありません。ズレがあるという問題はわかったが、具体的にどうやって判断を下せば良いのかが分からないからです。

前回、母集団で疑問に思ったところですね。全てを知ることができないものに対して、どう判断をすればいいんだろうって思いました。

そこで、数学を活用します。数学を使って現実の対象を記述したモデルを数理モデルと言います。

用語

・これから「記述する(describe)」という言葉をよく使います。詳しく説明する、表現する、描写する、といった意味です。学問の世界でよく使われます。

数理モデル

何で数学を使うんでしょう?
問題がより難しくならないでしょうか

数字を伴う現実の込み入った側面を表現するには、数学にかわる方法が存在しないためです。どんな表現方法よりも、数学が圧倒的に優れているんです。

数学は大昔から現実を記述し、目に見えない法則を導き出し、現実をよりよく理解することを可能にしてきました。その過程で、多くの表現手段を発明してきたのです。

長年の実績があるわけですね!

例えば、万有引力。あらゆる物体に働く目に見えない力を数理モデルで表現した例になります。

モノを落とすと地面に落ちていきます。この現象の正体は物体同士が引き寄せ合う力であり、地球上のモノだけでなく宇宙の月や惑星などにも同様に働いていて、シンプルな数式で統一的に説明できることが示されました。

万有引力は聞いたことがありましたが、どんなものにも働く力を1つの数式で表現できるって、すごいことですね。

物体の運動の法則も簡単な数式で表され、万有引力と運動法則を組み合わせて、惑星の描く軌道が非常に正確に計算できるようになりました。

数理モデルを通じて現実の理解が進んだわけですね。遠い宇宙にある惑星の動きがわかってしまうなんて不思議です。

さらに、惑星の軌道を数理モデルで十分に理解できたので、驚くような予言までできてしまったのです。

当時ある惑星だけ計算軌道からかなりずれてしまうことから、まだ観測されていない惑星の存在を予言しました。その惑星の引力によって軌道がずれるんだろうと考えたのです。

そしてその後、実際にその惑星は見つかりました。これが海王星です。天体観測をすること無しに、紙と鉛筆の計算だけで惑星の存在を予言したことはすごいことです。

予言までできるのはすごいですね!

数理モデルにすることで、多様な数学の道具箱を利用しながら、厳密な論理展開ができて、その結果は具体的な数字で現れてきます。数字は判断や予測で非常に役に立ちます

統計学のデータは数値の集まりなので、数理モデルで分析するやり方はフィットしそうですね。

また、数理モデルはコンピュータと相性がよく、様々な仮想実験(シミュレーション)ができます

例えば、防災シミュレーション。現実では実験が難しいことも数理モデルを作ってしまえばできるようになるのです。

数学を使うメリットがわかりました!
数理モデルはどのように組み立てるんでしょうか?やはり数学をマスターしてないと難しいでしょうか

数理モデルの概要

ゼロから作る必要はありません。様々な現実の問題をうまく扱う数理モデルが過去にたくさん提案されているので、メジャーなものを利用できればよいです。

安心しました!

利用にあたって、基本的な考え方と注意点だけおさえておいてください。

まず数理モデルの構成をご紹介します。「変数」、「パラメータ」、「関係式」の3つからなります。

変数は注目する現実の対象が数値となって入る箱、パラメータは固定的な数字、関係式は変数やパラメータの関係性を記述する数式です。

万有引力の式だと、質量、距離、力などが変数で、万有引力定数がパラメータ、関係式は万有引力の数式になります。

映画監督になったつもりで、その世界の登場キャラクター(変数・パラメータ)と関係図(関係式)を定めるイメージで覚えてもよいでしょう。

数理モデルの概要が何となくつかめました!

関係式の部分ですが、着目するモノゴトが不確実性を持つかどうかで、表現に使う数学の道具が変わってきます。

例えばサイコロをふって何の目が出るかは誰もわからないので、不確実性を持ちます。このような場合、関係式の表現に「確率」という数学の道具を組み込みます。

確率は日常会話でも出てきたりしますが数学的な表現はあまり自信がないですね、、、

今はわからなくて大丈夫です。統計学の数理モデルでは確率を使いますので、その理由や必要な知識を次回以降しっかり学んでいきます。

はい!

統計学では何を数理モデルの対象とするのでしょうか?

統計学では、「母集団から標本(データ)が得られる一連の仕組み」を数理モデルで表現します。

母集団と標本の間にある関係性を数理モデルで表現できれば、標本の情報から本当に知りたい母集団の情報を知ることができると考えるのです。

数理モデルが架け橋のような役割になるわけですね!

統計学のモデルはまた今後詳しく見ていきます。

最後に数理モデルの一般的な注意点です。あくまで現実を単純化したものなので、様々な仮定から成り立っているということです。

このため、モデルは現実のデータで検証して、間違っていたら修正ということを繰り返す必要があります。

はい!

参考
  • 完璧と思われたニュートン力学の万有引力の法則も、のちに、重力がとても強い場所(水星など)では成り立たないことが判明しました。のちにアインシュタインの相対性理論によって説明がされるようになりました。

まとめ

本日はここまでにして起きましょう。数学を使って世の中の現象を記述する数理モデルをご紹介しました。

新しく現実の表現手段が学べました!統計学の基礎となるものだということで、しっかり復習しておきます!

がるたろうは
今日もたくさん学べたようです!

ことらノート
  • 現実を表現する方法は色々あるが、「ものごとの仕組みを理解し、役に立つ情報を得る」ことを目的とする場合、とても便利な表現方法が「数理モデル」。データを使って判断や予測をするためには数理モデルの考え方が基礎となる。
  • モデルとは、ものごとの仕組みを理解し、役に立つ情報を得るために、現実のものごとを単純化して表現したもの。現実はそのままだと複雑すぎて取り扱いが難しいので、重要な特徴(エッセンス)だけに注目し、それ以外はバッサリ捨てる。
  • 数理モデルにすることで、多様な数学の道具箱を利用しながら、厳密な論理展開ができて、その結果は具体的な数字で現れる。数字は判断や予測で非常に役に立つ。
  • 数理モデルは「変数」、「パラメータ」、「関係式」の3つからなる。関係式の表現に「確率」を使う。
  • 統計学では、「母集団から標本(データ)が得られる一連の仕組み」を数理モデルで表現